教 育 の 現 状
(3)塾選びの基準

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 小生は過去25年間学習塾を経営し、そこから導き出された、生徒と保護者、保護者と塾、講師と保護者の関係に対する小生の見解を述べてみたいと思います。
 
 
【3】塾選びの基準
 私は仕事柄、他の塾の広告を注意深く見て次のような文面を多々見受けます。@どこどこ出身の講師 A偏差値がいくらまで上がった等です。

 確かに@については保護者からもよく問いかけられ大切なことの一つです。ましては保護者等は、学歴さえ高ければ優秀な授業が受けられると思いがちです。しかし、これは大間違いです。たとえ講師自身の学歴、能力が高くても教えることに不向きな人もいるのです。つまり、人間には本人の知的レベルは高くても、これに比例して教えることまでもが上手とは限りません。


 実際に、私の教室の英語の先生は、高校2年で既に準一級を取得し、会話も流暢に外人と話していました。しかし、彼の生徒達からしばしば、先生の説明がよく分からないと不満を言っているのが聞こえてきました。そのためか、その講師が担当する生徒たちは進捗率がとても悪かったのです。 このように講師の学歴や経験の長さが必ずしも良い講師とは限りません。つまり、教えることに不向きな講師ともいえます。


 また、偏差値がいくらまで上がったと評価することは、生徒の進捗率を図る指標となりますので大切な分析に値します。しかし、小生の経験から、偏差値40以下の生徒を引き上げるのは、学問的に難しいことはありませんが、教える手段をかなり工夫しないと難しいです。つまり、講師にとって最も苦労するレベルです。 また、偏差値40程度の生徒を65ぐらいまで引き上げるのは学問的にも、教え方においてもさほど苦労することはありません。一方、65以上の生徒を72以上に引き上げるには、学習内容と学習量の工夫をすることでもっとも楽に偏差値を引き上げられるレベルの生徒です。


 このように当初の生徒のレベルがどのレベルだあったかが重要です。ただ単に、いくらからいくらへ上がったというのは評価の対象として正しいかは疑わしいしい。 例えば理解力に劣る生徒を引き上げるのは、そうでない生徒を引き上げるよりもはるかに苦労するのです。つまり、ただ単に数値のみを塾あるいは講師を評価する判断材料にするのは必ずしも正しいとは言えません。


 しかし、保護者としては未知の塾に子供を通わせるために、自分の子供にあっているかどうかの判断はせず、良い大学出身の講師がいるから、近所の子供が行っているから、大きい塾だからとかといった判断基準で選択しているようです。しかし、子供の成績が伸びなくても、大きい塾だからとか講師の出身が立派だからとの判断だけに執着し、自分の子供に合った塾を探そうとせず、諦めてしまうことが多々多いのです。

 このような考えに基づいて、私の塾に子供をつれてきた両親がいました。彼は、高校一年になったばかりの時に、英語が全くといっていいほど理解できていなくて正に、赤点間近い点数しか取れず、他の科目は問題ないのに彼の学習意欲をそいでいました。両親もこれには手の施しようがなく諦めていました。そのために、両親は次のように入塾時に言いました。 これでは国立大学は無理のようだからあきらめます。でも、少なくとも私立大学だけは行かせたいと懇願されました。

 私は 「よろしいですよ」 頑張って教えていきますといって受け入れました。 確かに学習レベルは中学二年程度で高校生にとっては基礎の基礎が欠落していて私も内心唖然としました。そこから様々な学習手法を講じた結果、何と高校3年の6月にはクラスどころか学年でトップに立ち担任が信じなかったそうです。しかし、夏休み講座後の9月には、何と偏差値が76まで上昇し、担任どころかクラス全員が驚きをもって注目し、それまでの彼の学習過程の経過について家庭調査があったのです。そのとき両親が私のところに来て、どのように説明をしたらいいかを訪ねにきたほどです。

 このようにどんなに落ち込んでいても、教え方次第で予想もしない結果が生まれます。これは私の個人塾だったからできたことであって、それまで通っていた大手の塾ではできなかったことでした。
 
 
 
この後当塾での実際のドキュメントを紹介します。
 
 
  2013年7月29日