教育の難しさ
(No.1)

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  この記録は、当塾でのノンフィクションです。登場人物は全て架空です。成績が落ちたことに気づいた父親(高校の先生)が、心配して子供にひそかに当塾に相談にきました。先生とは言え、我が子の教育には打つ術はなしである。
 
 実話【1】
登場人物
(架空)
湯山 博 ⇒ 生徒の親 鹿投 研G⇒ 英語の先生
 湯山 卓 ⇒ 生徒 坂本 太一⇒ 数学の先生
南桜高校⇒ 生徒の高校
 
湯山 こんにちわ
 
鹿投 いらっしゃいませ、、、
 
湯山 あのー、ちょっと子供のことで。。。。。相談があって。。。。。
 
鹿投 あー、そうですか? どうぞ、こちらへ。。。。。
 
湯山 はい、ありがとうございます。
 
鹿投 どうぞ、そこへおかけください。
 
湯山 ありがとうございます。
 
鹿投 ところで何のことでしょうか?
  
湯山 忙しいところすみません。チョッとお尋ねしますが、ここは英語が得意と聞いたんですが?
  
鹿投 はい、私どもは英語と数学のみしか教えていません。しかし、特に英語は独特のやり方でやっています。つまり、英語による英語の授業です。 もちろん、当塾で初めて学習する方には、この手法は適用せず通常の日本語による授業です。
 
湯山 ああそうですか? もっと詳しく教えてもらえませんか。
 
鹿投 はい、英語による英語の授業とは、先生が、英文法や、長文読解等の解説を英語でするので聞く力がないと全く分かりません。 聞く力は短兵急に出来るものではありませんので、中学一年から時間を掛けて聞く力を付けないと、上級になるにしたがって難しい用語を使うためにますます聞く力が要求されます。つまり、英語の習い当初から段階的に学習しないと負担が大きくなります。そのために高校生の場合は、少なくとも高校一年から時間を掛けてやらないといけないと思います。しかし、高校一年からこの学習手法をで受講するには、最低でも一週間に二回以上受講しないと中学一年から始めた人にはついていけません。
 
湯山 なるほど。。。。その授業に慣れるとヒアリング力がかなりつきますね?
 
鹿投 そうです、そのヒアリング力を付けること、語彙力を付けることがこの学習手法の目的です。しかし、上級生になると、先生が話の中で使う語彙数も多いので慣れていないとかなり難しいと思います。
 
湯山 では、私の子供にはちょっと無理ですね。。
 
鹿投 はい、はっきり言って無理です。彼の場合は現時点では彼のレベルが分からないので明快なことはいえませんが、日本語による授業のほうが適切かもしれません。
 
湯山 ああそうですか。 実は私の子供は、英語ががとても悪くて、、、赤点に近いほどの悪さです。
 
鹿投 なるほど、、、そうであればとにかく、早めにスタートしたほうがいいと思います。
 
鹿投 ところで何年生ですか。 
 
湯山 高校3年です。
 
鹿投 なるほど、だったら来年は大学受験ですね。。。。。いつごろから成績が悪くなってきたのですか。
 
湯山 私が知ったのは先月です。それまでは、こんなに悪いことなどツユ知らずでした。
 
湯山 子供のことについてはそれまで妻に任せていたものですから。。。
 
鹿投 どうして成績が低下していることを知ったのですか?
 
湯山 実は、妻曰く、「最近子供が勉強を余りしなくなったようなんです。」と言ったのです。そこで、「先月の模試のテストの成績表を見せてくれ」 と言ったら、英語と、数学が悪かったのです。特に、英語の悪さには驚きました。
 
鹿投 程度はどの程度でしたか? 
 
湯山 正直言って、赤点でした。つまり20点で全滅でした。
 
鹿投 本人とそのことで話をしましたか。
 
湯山 はい、でも詳しいことは話してくれないのです。 
 
鹿投 なるほど。。。。奥さんとお話したのですか。
 
湯山 はい、でも彼女の曰く 「私の言うことは聞いてくれない」 と。 もっと早く相談しょうと思っていたのだが、立ち直るのではないかと期待していたのだが。 しかし、このままでは受験勉強に影響が出てくるので早急に対処してくれと。
 
鹿投 で、お父さんとしてはどのように考えていますか。
 
湯山 とにかく、今は大学受験は程遠い状態なので、先ずはここの塾でしっかりと教えてほしいのですが。。。。。。特に今度の夏休みに特訓をして欲しいのです。そうでないととても追いつけないと思っています。
 
鹿投 そうですね、お父さんの言うとおりの成績であったら、この夏休み講座を利用しないと追いつくチャンスがありません。 この絶好のチャンスを最大限」活用したら、確実に二学期には驚くほどの成績を期待していいと思います。ただし、特訓のスケジュールを作りますのでそれにしたがっていただけるでしょうか? もちろん、本人の覚悟も必要ですが。 しかし、本人は精神的に落ち込んでいると思われるので、余りプレッシャを掛けないでください。精神的な気力の低下につぃいては当塾の指導方法に任せてください。必ず三ヶ月したら驚くべき学習意欲の回復が起こってきます。 
 
湯山 わかりました。私も子供には、くどいことは言わずに送り出します。、
 
鹿投  では、その前に期末の成績と、直近の模試の成績の写しを持ってきて欲しいのですが。 彼の弱点を見出さなければいけないので。。。
 
湯山 わかりました。本人に持たせてやります。
 
鹿投 入熟する前に本人と話をしてどのコースで学習したらよいかを決めたいので、先ずは、ここへ来るように伝えてください。。。。。。 話の結果、方向性が決まったら入塾申込書を差し上げますので必要事項を書いて出してください。 これからは、余り本人をせめないでください。精神的にも落ち込んでいると思われるので。。。
  
湯山 はい、そういたします。 では、本人にここに来るように伝えますのでよろしくお願いします。
 
鹿投 わかりました。お待ちしています。 6月5日
  
この後生徒の親は、詳しい当塾の学習方法や生徒に対する対処方法を聞いて帰りました。
 
その後数日経過した
 
 
鹿投 坂本先生、先週、子供の成績が落ちて相談に来た人からは何の連絡もないが、子供と話をしたのかな???
 
坂本 そうですね、教育者とて我が子の教育は微分方程式を解くくらい難しいのですからね。。。
 
鹿投 そうですね、自分の子供への教育は、先生と生徒と言う関係がなかなか成立しませんからね。。
 
坂本 勉強のことになると、親と子供は意見が一致せず、この不一致に対して親は感情的に走りやすく、ややともすると状況を悪化させますので円満な話し合いなんて出来やしないんですよね。
 
鹿投 そうです。特に、成績が落ちてくると、生徒は精神的に神経過敏(nervousness)になり腫れ物に触るような(handle him with kid gloves)状況に陥りやすいですからね。。。
 
坂本 まさに神経過敏そのものですね。。。。。。だから、先ずはこの腫れ物を減らす対症療法を講じ、次に原因療法に着手すべきでしょう。 
 
鹿投 とにかく、うまくいくといいけどね。。。
坂本 そうですね。そのうち何らかの連絡が来るでしょう。
 
 
それから一週間後の土曜日にお父さんから電話があった。 6月14日
 
  
湯山 あー、ウイルの先生、湯山です。先日はいろいろお話していただいて有難うございました。ところで、あれから子供と話をしたのですが、私とはなかなか話がうまく進展せず妻に説得をしてくれるようにいっているのですが。。。本人が、塾に行きたがらないらしいんです。
 
鹿投 理由は何ですか???
 
湯山 それが、その理由さえも分からないので。。。妻と二人で困り果てているのです。
 
鹿投 察し余りあるようです。 学校へは行ってますか?
 
湯山 はい、何とか足を運んでいます。しかし、気が進まないような感じがします。
 
鹿投 今、彼は家にいますか。
 
湯山 いいえ、まだ学校から帰ってきていません。
 
鹿投 それでは、奥様は今そこにいらっしゃいますか?
 
湯山 はい、います。
 
鹿投 では、代わっていただけますか。私が、名案を出しますので。。。
湯山 はい、卓の母親です。この度はお世話になっています。なかなか主人と子供の対話がうまくいかずに。。。私とは少し対話が出来ますが、勉強のことになると無口になったり、すぐに自分の部屋へ閉じこもってしまうのです。
 
鹿投 宿題等はやっていますか。
 
湯山 まー、何とか自分の部屋でやっているようです。
鹿投 どうやって確認していますか。
湯山 はい、気分転換にと思ってコーヒーとつまみを差し入れます。そのとき何とか本を開いて、大切なことをノートに書き取っているようです。コーヒーを差し入れると嬉しいらしくて、子供の方からたまに話しかけてきます。
鹿投 それではまだ、早急な回復の見込みがあるようですね。ところで、彼の好きな食べ物は何ですか。
 
湯山 そうですね。焼肉が好物です。
 
鹿投 それでは、子供に次のように言ってください。 卓(すぐる)、もうお母さんはお前のことで具合が悪くなりそう。。。だから今夜は、お願いだから塾に行って塾の先生の話を聞くだけでいいので行っちょうだい。 帰ってきたら焼肉を準備しておくので。。。。と
湯山 あー、子供が帰ってきたので、子供と代わりましょうか。
 
鹿投 いや、いいです。とにかく今、私が言ったように言ってみてください。
 
湯山 分かりました。では、今夜6時ごろ伺うように説得します。
 
鹿投 はい、お待ちしています。
 
 
さー、お母さんは子供を説得できたでしょうか。。。
 
 
湯山 あー、ウイルさん。 子供がお宅へ向かいましたのでよろしくお願いします。
 
鹿投 よかったですね。。。それでは待ちます。
 
 
これでやっと両親は子供を入塾の説明に行くのに納得してもらいました。
ここから第二幕が始まります
   
 
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