教育の難しさ
(No.2)

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  この記録は、当塾でのノンフィクションです。登場人物は全て架空です。両親は、これまで子供を塾に行かせようと奨めていましたが、子供がこれを拒んでいました。しかし、やっと子供を塾に行かせることに説得出来ました。これから子供が入塾のための説明を聞きに来ることになっています。さて、どんな性格の人物で、何を先生に問いかけ、あるいは、何を先生の問いかけに返答するか注目する点です。
 
 入 塾 編
登場人物
湯山 博 ⇒ 生徒の親 鹿投 研G⇒ 英語の先生
 湯山 卓 ⇒ 生徒 坂本 太一⇒ 数学の先生
南桜高校⇒ 生徒の高校
 
 
湯山 こんにちわ、湯山です。 6月14日 18;00
 
鹿投 あー、湯山君、よく来たね、、、、チョッと待ってね。。そこのいすにかけていて。
 
湯山 はい、有難うございます。
 
鹿投 あー、ごめん、待たせたね。。
 
湯山 いいえ、
 
鹿投 こちらへ来て、ここで話をしょう。僕の授業は7時からだから、まだ6時なので十分時間があるのでいろいろ話しましょう。
 
湯山 よろしくお願いします。
 
鹿投 うん、、よろしく。僕の名前は鹿投です。英語を担当しています。ところで、湯山卓君だよね。。。
 
湯山 はい、そうです。
 
鹿投 君は、よかにせ(これは鹿児島弁です。ハンサムの意)だね。 しかも凄く聡明なルックスだ。
 
湯山 有難うございます。
 
鹿投 ところで。大体のことは君のお父さんから聞いたのだが、改めて聞きます。高校は南桜高校で、3年生と聞いたけど間違いないね。。
 
湯山 はい、3年生です。
 
鹿投 南桜高校は、県内トップクラスの進学高だよね。。 そのほかにも名高い進学校はあるが、ここを選んだ理由は?
 
湯山 はい、お父さんが薦めたこと、友達が通っている、将来大学に行きたかったことが理由です。特に、大学受験に有利であることが一番の理由です。
 
鹿投 なるほど、あそこに入るには、5科目平均点が90点以上でないと無理だよね。
 
湯山 はい、そうですね。。
 
鹿投 うーん、じゃ、それまでは、5科目ほぼ自信があったんだね?
 
湯山 はい、まー、
 
鹿投 なるほど、何が一番得意だったの? 
 
湯山 理科です。
 
鹿投 うんー、理科が得意ということは、数学も得意と一般的に思われがちだよね。。高校に入ると数学が得意でないと物理は理解できなくなるからね。 特に、センター試験では計算問題が主流となるから、数学はしっかりと力を付けておいたほうがいいよ。。。。。ところで英語はどうだったの?
  
湯山 得意ではなかったが、何とか一生懸命勉強したので合格ラインを維持できました。
 
鹿投 うーん、ところで、お父さんの話によると先月あった模試の結果がかなり悪かったとのことだったが?
  
湯山 はい、英語と数学が、特に英語は全く手も足もだせませんでした。
 
鹿投 なるほど、ところでいつごろから成績が落ちてきたの?
 
湯山 2年のころから徐々に落ちてきました。でも、何とか挽回できると思っていましたが、時の経過とともに難しく感じるようになってきました。
 
鹿投 うーん、正直に話してくれて有難う。するとその後、どのように対処したの? はっきり言って、どんなに一生懸命勉強しても追いつけなくなり、次第に勉強が苦になりなりだしました。
 
鹿投 そうだろうね。進学校では、上級になると勉強の量が半端じゃないからね。。。だから、遅れてくると、それを取り戻すのに必要なエネルギーと、新しいことを習うためのエネルギーに、本来持っているエネルギーを分散せねばならないので、それだけ効率が悪くなるんだよね。。。
 
湯山 数学は、少し他の科目よりも自信があったが、英語に足を引っ張られて、数学の予習、復習がままならなかったのです。、英語と数学について、特に宿題が多かったが理解出来なかったために時間をこの二科目に費やした。しかし、その割には完全に宿題をこなすことさえ出来なくなり、ますます学習意欲がなくなり、悪循環に陥ったと自分なりに認識していましたが、もはやデッドロックにはまってしまいました。
  
鹿投 うーん、なるほど、詳しく説明してくれたのでよく分かった。 ところで、君の英語に対する分からない点は何ですか?
  
湯山 そうですね、長文が全く分からない。
 
鹿投 そう応えるんじゃないかな思っていた。つまり、長文は、英文法、語法、構文、イディオム、単語等のいずれの知識をも要求するんだ。つまり、長文読解に必要なこれらの全ての知識が不足していることを示しているんだ。 ところで、模試の結果の写しを持ってきましたか。
 
湯山 はい、
 
鹿投 じゃー、見せて。。。。。。  うーん、これでは手も足も出にはずだ。。。こんな状態だと一日も早くフォローアップしないと、、、時間がないからね、、、どうしますか???
 
湯山 はい、ここで教えてもらいたい。
 
鹿投 うーん、「ここで教えてもらいたい」 といったけど、これまでは、両親が 「塾に行くように」 とアドバイスしたけどその気にならなかったのは何故?
  
湯山 そうですね。 内心は, 「何とかしたい」 という気持ちはあったが、周りの友人が塾に行っている人がいないし、塾に行くのは、自分がいかにも劣等性であると思われがちだったから。。。
 
鹿投 なるほど。。。すばらしい、よくも内心を打ち明けてくれた。。有難う。。嬉しい。。君は正直者である。 でも、君の感情を害するかもしれないが、虚栄心が強い。 虚栄心では、その人を救うどころか逆に悲劇をもたらす。 なぜなら、もし君が虚栄心を持たず、自分の現実に素直に対応していたら、ここまで落ち込みなかったと思うよ。。。。でも今日、このように虚栄を捨ててここにきたことに対する勇気に賞賛したい。。。うーん、何度も言うがうれしい。。。 君は、お父さんが言うほどではないようだ。。。ちゃんと自分の意見を今日は僕に述べてくれた。 じゃ、これからは、卓君と呼ぶからな、、、いいでしょう。。
  
湯山 はい、よろしくお願いします。
  
鹿投 ところで、いつから始める?
  
湯山 来月から早速始めたいです。
  
鹿投 よし、分かった。 では、来月からはじめましょう。 ところで、最初の授業の日に、英文法と、長文読解の混在したプレイスメントテストをやって、君の弱点を確認したい。もちろんこれだけで全てが分かるわけではないが。。。それに、来月末から夏休み講座が始まるが、こちらで特訓用のスケジュールを作っていいかな? これで、2学期は一挙に飛び上がると思うよ。 もちろん、その後もしばらく続けないといけないけど。。。
  
湯山 わかりました。よろしくお願いします。
    
鹿投 うん、君は本当に素直だ。。。間違いなく君の友人が驚くぐらい成績が飛び上がるよ。期待して。 じゃー、 これから、入塾申込書をあげるから次に来るとき持ってきて。。。
 
湯山 はい、わかりました。
 
鹿投 ところで、今日ここにきて今思うことは何ですか?
  
湯山 はい、最初は、何を聞かれるのか、どんな先生なのかが分からず、少し引っ込み思案になっていました。 しかし、思ったより親しみやすかったので何でも話す気持ちになりました。
 
鹿投 あー、そうか。。。だから何でも話してくれたんだね。。。。
 
湯山 はい、 思ったことを話したので今は、なんとなく憂鬱感(feeling of blue)が取れてここへ来るまでの気分とは正反対の気分です。 つまり、これまで悩んでいたことが吹き飛んだような気分です。
 
鹿投 そうか??? それはよかった。。。。  これで落ち着いて勉強できるよね。。とにかく勉強のことは僕に任せてくれ。。。  君が僕の言うとおりにすれば間違いなく急上昇すると思うよ。 では今日はこれで。。。次から頑張ろう。。。。
 
湯山 はい、今日は有難うございました。 では、来月からよろしくお願いします。
  
鹿投 はいー、See you again...
  
これで、卓君とのこれまでの学業の経過、学習に対する彼の考え、入塾に関すること等について詳細に話し合った。本人も述べているように、過去の憂鬱感も薄らぎ(fade away)、詩人の高浜虚子(たかはまきよし)の「春風や闘志抱きて、丘に立つ」 といった気分で帰っていった。 帰ってからどのように両親に話すかが関心の的となった。 これで来月(7月)から私と一緒に勉強するようになったが、どのように彼を指導し、彼の学習意欲と成績向上の相関関係に注目してください。このストーリは、ロングランで掲載します。最後の大学受験までを関心を持って読んでください。あなたのお子様にも教訓となるかもしれません。
  6月14日 18;50
    
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